「カプセル快適化俱楽部」は、中銀カプセルタワービルに住む人・使う人、これから住もうとする人や使おうとしている人にとって役立つ、カプセルライフを楽しくするための情報発信を目指します。また、これを見て読んだ方に中銀カプセルタワービルについて興味を持ってもらえたら嬉しいです。
今回は、カプセル内にもとからある時計を直しました。
シェアオフィスである中銀カプセルタワービルA606プロジェクトの会員から「時計がほしい」という要望があったことがきっかけで、もとからある時計を直しはじめました。
カプセルには、1972年に建った当時の最先端の機器が備え付けられていました。テレビ、冷蔵庫、時計などは標準で付き、それ以外の卓上電子計算機(電卓)、ステレオスピーカー、テープデッキ(オープンリール)、テーブルライト、流し台などはオプションで、カプセル購入者がそれぞれ選んだそうです。
現在、すべてが完璧に揃っているカプセルは無いようです。それぞれのカプセルで部分的にパーツをとどめていたり、もとのものは撤去されてしまっていたりします。埼玉県立近代美術館が建つ北浦和公園にあるカプセルのモデルルームも実際に建ったものとは少し違います。
今回直した時計は、カプセルに標準で付いていたもので、このカプセルを借り始めた時にはすでに止まっていました。数年から数十年は止まったままだったのでしょう。時計を取り外してみると、電力をとるプラグがそもそも抜かれていました。そして、時計用に用意されているコンセントにプラグをさしても、時計は動きません。また、右側のダイアルも箱の中に1つは落ちていました。そこで分解して直すことにしました。
1970年代の時計ですから、数字盤も一枚ずつパラパラとあり、電気的に動くけれどもどこかアナログな品です。試行錯誤してみたところ、修理方法は実は簡単で、古くなってグリスが固着したモーター軸に油をさして回るように手入れをしてあげました。こうすれば動くのは、アナログな品だからこそ。長く使えるのかもしれないと思いました。
いまでは、A606では、カプセルにもともとあった時計が正確な時を告げてくれます!(映像は早回しです)
タイマーもあり、ブザーも「ブー」と鳴るのですが、右側のダイアルの操作方法がやや複雑で壊れやすいため、いまのところブザーは使わないようにしています。ちゃんと、照明のスイッチと並んでいるブザーボタンは連動しています。
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よく、博物館などでさわれない機器が展示されていますが、それではその場は止まっているように感じます。カプセルは、まだ生きていて現役で使う建築です。カプセルを快適に使い続けるために、機器は直して動かしていきたいと考えています。
いしまるあきこ一級建築士事務所 + 蔵プロダクション で、「中銀カプセル・レストア・プロジェクト」と名付けて、日常的に使うために、中銀カプセルタワービルのカプセルユニットの復原を試みています。